田吾作な日々。

ヤマ無し オチ無し イミ無し。

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幽けき朱氏のブログVermeil Roomに、先日こんな記事が載っていまして。

ここは、全世界同時泣きボクロ革命の同志としてコメントしなくてはならないとレティクル座の彼方から大宇宙の大いなる意思がおっしゃるので、ひとつ頼んでみました。ゆんゆん♪

追記で読めますよ。

10/22(土) AM10:24

「…あー、畜生、明智の阿呆め…」
トイレの洗面台でさっきから顔を必死に洗う俺。
土曜日で、休日。俺は高校生で、ここは喫茶店。

どう見ても、怪しい。

かといって、今日が平日だったり俺が会社員だったりここが喫茶店でなく高級料亭だったとしても―

多分、怪しい。

そもそも高級料亭で顔を洗う輩が居るのか?
いや、居ないだろう。居ないからこそ怪しい。
そしてそれは喫茶店でも同じだ。
これは大きな発見といえるかもしれない。
一見「飲食店」という接点しか無さそうに見える「喫茶店」と「料亭」。
そこに「トイレの洗面台で顔を洗うと怪しい」という隠された繋がりが発見された。
この理論は上手く応用すれば他にも応用できるかもしれない。
「喫茶店」と「寿司屋」でもいいはずだし「韓国料理屋」と「フレンチレストラン」でもいいはずだ。

………。

話が逸れた。
サ店と料亭の神秘は今俺にとってどうでもいい。恐らく世界の9割以上の人間もそう言う。
この行動が怪しいかどうかもさして問題ではない。幸いさっきから人は来ない。

問題は別にあるのだ。俺は顔を上げてもう一度鏡を見た。
左目の下、油性ペンで黒々と描かれた「泣きボクロ」を。


10/21(金)PM8:20

ことの発端。
唐突だが俺には好きな人が居る。

佐伯 小枝 16歳 女性 高校生

通称小枝ちゃん。コエダではない。コワザなはずもない。サエだ。

俺と同じ高校の同じクラスに通う、どこにでも居る普通の女の子だ。

彼女と同じクラスになって結構な月日が経ったが、彼女との接点は非常に薄い。
席が近くなったことも無ければ、何かの共同作業をしたこともない。
だが、彼女は可愛いのである。可愛いから好きだ。
これだけだったら俺の淡い恋心は胸に永久封印されたままだっただろうが、ある転機が俺を動かした。

知ってしまったのである。彼女の秘密を。
誰も居ない教室と、彼女の机の上に口を盛大に開けて鎮座する鞄の誘惑に俺は負けた。変態確定である。

そして、その中身は予想を遥かに超えるものだった。
見覚えのあるようなキャラクターが描かれ、成人向けと隅に書かれた一冊の本。
どう見ても男にしか見えない二人のキャラが絡んでいる。
しかも恥美系。

………。

心のアイドルだった佐伯さんが腐女子だと知った俺は数秒間打ちのめされ、誰も居ない教室でうなだれた。
しかし、俺はここで考えを改める。

腐女子だっていいじゃないか。むしろ俺には好都合だ。
俺はオタクである。そして彼女は腐女子。

そう、無いと思っていた接点がここに生まれたのである。まさしくサ店と料亭の神秘だ。
これは、もしかしたら行けるかもしれない。

家に帰った俺は、既に居ても立っても居られなくなっていた。恋をしているのだから仕方ない。
ここで問題になるのは、俺が恋愛というものについて致命的なまでに疎いということだ。

だってオタクだし。

かといって諦めるわけにも行かない。
さっきの言葉を反復するが、恋をしているのだから仕方ない。

俺は勇気を出した。
彼女のメールアドレスは知らなかったのでサメールを送ることも出来ない。
仕方ないのでクラスの連絡網を使って直接自宅へ電話する。
緊張しすぎて誤って彼女の母親に愛の言葉を投げかけそうにもなったが、なんとか彼女と会話することに成功した。
以下がその内容である。

「えっと、桐谷ですけど」
「あ、うん、どうしたの?」
「えっと、明日の休み、開いてない?」
「え…?うん、暇だけど」
「えっと、良ければお茶でもどう?」

……思い出すのが億劫になってきた。しかもいまいち意味が無い。会話文を引用せずとも説明できるやりとりだ。
「お茶でもどう?」だ。我ながら冴えない。何時代の誘い方だ。旧石器時代でもこんな誘い方をする男は居なかった。
しかし、奇跡は起きる。

「…いいよ?どこで待ち合わせする?」

やはり彼女は天女だ。神聖の極致だ。神だ。無限の中核に棲む原初の混沌だ。
俺はその後明日の10時半に喫茶店で落ち合う約束を取り付け、電話を切った。
人間その気になればなんでも出来るのだ。
俺は瞬時初めて大気圏を突破したガガーリンの気持ちを体感した。ああ、地球は青かった。

しかし俺はその後現実に回帰した。大気圏突入。
一体、どうやって口説き落とすんだ。
約束が取り付けられたのは既にフラグが立っているからだと楽観することも出来るが、それはあまりに愚かしい。
彼女はお人よしで天然で腐女子だ。
そこが好きなのだが、今回の件も断るに断れずに…ということかもしれない。

あまりに若い俺は軍備を整える前に宣戦布告をしてしまったらしい。
差し詰め、真珠湾攻撃は成功。
だがこのままでは敗戦は必然。
やはり、何か武器を用意せねばならない。
俺の思考回路は音を立てて高速回転する。

………。

俺の思考回路ではスペック不足だった。

進退窮まった俺は、同盟国を頼ることにした。


明智 計一は、俺の友人の中で限り最も女にモテる男だ。
俺を超えるオタク度を誇り、ロリペドのネコミミ萌えという危険思想を持ちながら何故かモテる。
巫女萌えの俺がモテなくてロリペドネコミミの明智がモテるのにはなにか理由があるはずだ。
その秘訣に俺もあやかろうというわけだ。この際奴が物凄いイケメンで俺が目立たないということは忘れておく。

俺は早速メールを打った。

「なぁ、色々あって明日女の子と駅前のサ店でデートすることになったんだがなんかアドバイスしてくれないか?
  俺こういうこと全く経験が無くて困ってるんだ。お前をモテ男と知ってのお願いだ。頼む。」

よし、完璧だ。返信を待つとしよう。

10/21(金)PM9:00

………。

10/21(金)PM10:15

………………。

10/21(金)PM11:50

………………………。

10/22(土)AM2:30

え?
なんで返事来ないの?
そろそろ寝ないと不味いよ?

俺が眠いんだ相手も眠いさ。
などと、腰抜けの理論で自分を誤魔化す。

俺は睡魔に負け、意識を虚空の彼方へ飛ばした。


10/22(土)AM9:50

そして俺は結局何の準備も出来ないまま、30分以上前から約束の喫茶店に来ていた。
店内の人影はまばら。勿論、まだ店に彼女は来ていない。

が。

「おー桐谷、待ってたぞ」

明智が居た。
極めてナチュラルに。
紅茶なんか飲んでやがる。

「…なんでお前が居んの?」

俺は佐伯さんとデートする約束はしたがこいつとデートする約束をした覚えは無い。

「ハッハッハ、昨日は悪いことをしたな。携帯見るのなんかすっかり忘れてた。
 それで、お前のピンチだそうじゃないか?そこで親友であるこの明智計一が馳せ参じたというわけさ。
 なーに心配するな。地味でオタクで巫女萌えなお前でもばっちり彼女が出来るように手助けしてやるよ。
 ん?何ボケっと突っ立ってんの?座って紅茶でも飲めよ。店員さーん、レモンティーもうひとつ追加でー」

………。
とりあえず、店員の視線が痛いので俺は明智の居るテーブルにかけた。

「いや、確かに俺はお前にアドバイスしてくれとは頼んだが…ここに来る必要も無いだろ」

「何言ってんだよ。俺がメールを確認したのが朝の8時だ。
 あの時間からメールで極意を伝授するのは無理と判断したから来たまでだ。
 俺は気にしてないからOKだって。そんなに気にするなよソウルブラザー」

………なんでこんな男がモテるんだろう。軽い眩暈を堪えながら会話を続ける。

「…それなら連絡くらい寄越したって良かっただろ」

「連絡したら間違いなく来るなって言うじゃんお前」

確信犯かよ。
………仕方ない。利用できるものは利用させてもらう。

「…分かった。言いたいこと言って早く帰れ」

「なんだよ、誘っておきながらつれないやつめ…
 まぁいい。相手誰だよ?あとそのコの好きなタイプとか、趣味とか」

隠すのも今更面倒だと判断した俺は佐伯さんのこと、その実態、彼女への恋と葛藤の日々などを十分以上掛けて語った。

「―――よって、異形の神々を根源とする人智を超越した外宇宙的な恐怖と数奇なる運命の干渉により俺の恋心は行動に至るまでに昇華したのだ」

「…なるほどな。大体分かった」

流石明智だ、一発で理解したらしい。
明智は数秒間紅茶をすすりながら黙り込むと、言葉を発した。

「お前に必要なのは、ずばり属性だ。属性をつけろ」

………。
唖然とする俺を無視して明智は続ける。

「いいか、例えばだ。お前は佐伯さんが好きだな?確かに佐伯さんは結構可愛い。
 だが、ただでさえ可愛い佐伯さんが巫女服を着て竹箒を手に持ってたらどうだ?
 普通の佐伯さんと、巫女の佐伯さん。どっちがいいかは言わずもがなだろう」

………。

「それが属性の持つ破壊力だ。オタクのお前に分からないはずがない。
 あまつさえ相手は腐女子、そういうものに対しては敏感なはずだ!」

独演会を続ける明智。俺はとりあえずツッコミを入れる。

「いや、お前の言うことはわからんではないが。
 じゃあ何か、今からネコミミヘアバンドをつけて彼女を待ち構えろと?」

「甘い、甘いな桐谷よ。俺達男のオタクはそういったわかりやすいパーツに反応するが、女性はそうじゃない。
 もう少しさりげない感じこそ効果絶大なのだよ。そして俺はさりげなくてお前にも似合うものを思いついた!」

「…なんだよ?」

「目を瞑れ。俺が貴様を変えてやる」

「…はぁ?」

「いいから黙って言うとおりにしろ!」

酔ってんじゃないのかこいつ。目が怖かったのでとりあえず従う。
…男同士の二人組。片方目を瞑っている。

…もうコメントするのは止めよう。

キュポッ、というペンのキャップを外したような音が聞こえる。気のせいだ。
明らかに明智が近づいている気配がする。気のせいだ。

次の瞬間。

左眼の下辺りに何かが当たった気がして

「―――ッッッ!!!」

俺は思わず上体を反らして逃げた。

「明智っ!てめ何を」

「泣きボクロだ。タレ目のお前はこのオプションによって一気にクールな優男にぃ!?」

必殺の右で明智を沈めると俺はトイレへ駆け込んだ。


で。


10/22(土) AM10:27

「あああ畜生!とれねーし…!」

時計を見やる。時間はギリギリ。
小心者の俺は彼女が来ていないか確認しに一度トイレから出ることにした。

(…あー、佐伯さんに限って時間に遅れるとか無いよな…)

トイレの入り口からきょろきょろと店内を見渡す俺。どう見ても挙動不審。
明智はどうやら帰ったようだな…置いてあったティーカップは片付けてあった。
まぁ、明智はいい。彼女にこの醜態を見られないことが重要だ。
明智はどうやら帰ったようだな…

「あのー…」

そう。彼女にさえ見つからなければ。

「あの…桐谷くん?」

「え?」

…………。

…………………。

…………………………。

体中の血液が一気に凍結した。
一人ザ・ワールド。

……………そして時は動き出す。

「さっ、さささささ佐伯さん!?」

テンパる俺。背筋に嫌な汗が走る。

「…何かあったの桐谷くん。それに、その目の下のどうしたの?」

いきなり確信を突かれた。塹壕があったら飛び込みたい。

「え、えっとそのこれは…」

「?」

「えっと…」

回る回る、ぐるぐる回る。俺の思考はもう完全にぶっ壊れていた。

「もしかして、軽いコスプレか何か?」

明らかに不審がられた。万事休す。

「…私好きだよ、泣きボクロ」

………?
………は?
状況が読めない。
俺の千年の恋は終わったんじゃないのか?
なんで彼女はこんなに嬉しそうに笑ってるんだ?

「ね、とりあえず座って話そうよ」

唐突に、彼女が俺の手を取る。

未だに、状況は読めない。
何が起こっているのか分からない。

だが、一つだけ分かることはある。
とりあえず俺は、心の中で明智に敬礼した。

fin



とりあえず、明智君に敬礼。
そして、この恋に乾杯。(何

なんと言うか…あれですね、電波ボーイ・ミーツ・ガール?(ぇ
「桐谷くんと明智くん」シリーズとかどうでしょう(マテ



「連絡網」で電話するってシチュに懐かしさと萌えを感じてしまったのは抜群にヒミツ。
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